日本には、さまざまな伝統行事や季節のイベントがあります。せっかくですから、着物を着て、日本文化を存分に楽しみたいですね。ここでは、行事の服装(和服)にポイントを絞って簡単にご紹介します。
赤ちゃんんが生まれてから成人するまで、健やかな成長を願う行事がたくさんあります。主役は赤ちゃんですので、ご両親やお呼ばれする方は、周りとのバランと、赤ちゃんを引き立てる服装を心がけましょう。
お宮参りは、赤ちゃんが生まれて一番最初に行われる行事です。
男の子は生後31日目、女の子は生後33日目に行うとされています。
お宮参りの赤ちゃんの正式な服装は、白羽二重(しろはぶたえ)の内着に祝い着を掛けた和装です。最近では、白羽二重の代わりにカバーオールのドレスを着て、その上に祝い着を掛けるスタイルが主流となっています。
お母様の着物は、黒留袖が正装ですが、最近では色留袖、訪問着、色無地(一つ紋付き)、附下げでもよいとされています。帯は袋帯が望ましいですが、名古屋帯でも大丈夫です。
生後100日前後で行うため「100日祝い」「百日祝い」とも言います。
お食い初めでの赤ちゃんの正式は服装は、「小袖(こそで)」です。
小袖とは、日本の伝統的衣装の一つで、現在の着物の元となった衣類です。名前のとおり、袖口の開きが狭いのが特徴です。
昔、赤ちゃんは、生後100日までは神様の子とされ、白い着物を着ていました。100日を過ぎると人間の子になるので、100日目のお食い初めの日に、色のついた小袖に着替えて、健やかな成長を願ってお祝いをしたのです。
最近は、わざわざ小袖を準備する事も少なくなり、お宮参りの時の祝い着を羽織らせる事が多いようです。
お母様の着物は、色留袖が望ましいですが、訪問着でも大丈夫です。
赤ちゃんが生まれて初めて迎える節句が初絶句です。
女の子は、3月3日(桃の節句)。男の子は5月5日(端午の節句)です。
赤ちゃんの服装は、きちんとした決まりはないようです。
初節句は、月齢に違いがありますから、無理のない服装を選ぶようにしましょう。
月齢が低い場合は、お宮参りで使った祝い着を羽織るのも良いし、月齢が高ければ、着物の上に被布(ひふ)を着るのも良いですね。
男の子は、羽織袴もカッコよいと思います。
お母様の着物は、色留袖が望ましいですが、訪問着でも大丈夫です。
七五三の儀式が始まったのは江戸時代です。その頃はまだ子供の死亡率が高く、3歳、5歳、7歳の節目で成長を喜ぶお祝いをしていたのです。
3歳…女の子・男の子、5歳…男の子、7歳…女の子となっていますが、現在では、男の子は5歳のみ行うことが多いですね。
3歳では、和服の帯は締めずに上に被布を着ます。着物は、お宮参りの際に購入したものを仕立て直す場合が多いです。被布は、3歳の七五三の時に着るものとされていますので、それ以降は着てはいけません。
5歳は、男の子が初めて袴を着る儀式なので、羽織袴でビシッと決めましょう。
7歳は、女の子が初めて大人と同じ帯を締める儀式です。身に付ける小物も多く、ちょっと大変ですががんばりましょう!
お母様の着物は、訪問着、付下げ、色無地が良いでしょう。
十三参り(じゅうさんまいり)は、数え年で13歳の4月13日に「虚空蔵菩薩」にお参りする行事です。
京都の法輪寺から広まった行事で、関西では七五三をせずに十三参りをするご家庭も多いです。
服装は、男の子は紋付袴、女の子は大人と同じ本裁ちの着物を着ます。肩上げをした着物でお参りをし、その後に肩上げを外します。着物は、特に決まりはなく、振り袖、小紋、色無地等が使えます。
お母様の着物は、訪問着、付下げ、色無地が良いでしょう。
最近、小学校の卒業式に袴で出席するのが流行っているようですね。
※学校によっては袴での出席が制限されている場合もありますので必ず確認してから準備しましょう。
中振り袖か小振り袖に、行燈袴(あんどんばかま)を着ます。
行燈袴は、スカートのような構造になっていて、トイレに行くときもほどく必要はありません。
足元は、草履か編み上げのブーツを合わせましょう。
お母様の着物は、訪問着、付下げ、色無地が良いでしょう。
成人式は、人生の一大イベント。昔でいう元服にあたる、子供から大人になるための大切な儀式です。
1月の第2月曜日が成人の日となっていて、20歳になる学年の人を対象に、市区町村で成人式の式典が企画されることが多いです。
女性は、未婚女性の第一正装である振り袖を着ます。
男性の和装の正装は、紋付袴ですが、最近では男性はスーツの人がほとんどですね。
女性は、お母様が着た振り袖(ママ振り)や、お姉さまの振り袖(姉振り)を着る事も多くなってきました。レトロな柄がかえって新鮮だと好評なようです。着物は、帯や半襟等の小物で雰囲気がガラッと変わりますから、ママ振りを自分なりのスタイルで楽しむことができますよ。
ご家族でお写真を撮る場合も多いかと思います。お母様の着物は、訪問着、付下げ、色無地が良いでしょう。
大学・短大・専門学校の卒業式では、袴を着るのが定番ですね。
明治時代の女学生は袴が正装でした。洋服が普段着となった今でも、卒業式にはかつての正装である袴を身に付けるという文化が残っているのです。
袴は行燈袴で、合わせる着物は、中振り袖または小振り袖です。成人式の時に着用した振り袖を使う場合も多いですが、帯締めや半襟などを替えて雰囲気を変えると良いですね。
新婦の衣装は、白無垢・色打掛・引き振り袖があります。
白無垢…最も格の高い婚礼衣装。打掛から小物まで全て白で統一されています。生地の織りや刺繍で雰囲気が変わります。文金高島田の髪に角隠しか綿帽子を付けるのが伝統的なスタイルです。
神社、結婚式場、ホテルなどの神前式の際に着用します。
色打掛…色以外の打掛を色打掛と言います。挙式後の披露宴やお色直しで着用する事が多いです。織り、染め、刺繍などで華やかに仕上げられた物が多く、伊達衿などの小物もお洒落ポイントとなります。
ホテルや結婚式場等の広めの披露宴会場で着用するのがおすすめです。
引き振袖…未婚の女性の礼装で一番格の高いのが大振り袖ですが、中でもおはしょりをせずに裾を引いて着用する引き振り袖は、花嫁さんだけが着る事ができます。
裾に綿を入れてふっくらと仕立ててあるのが特徴です。
打掛では隠れてしまう帯が見えるので、帯の結び方や小物で素敵にアレンジできます。
料亭やレストランなど小さめの会場での披露宴の時におすすめです。
新郎の正装は、紋付袴です。
黒五つ紋付き羽織袴が一番格が高い、伝統的な婚礼衣装です。黒い紋付の着物に、袴は仙台平(せんだいひら)の縞柄の袴を着用します。
黒以外にも、グレー、白、紺などの着物もありますが、3つ紋となり、黒五つ紋付き羽織袴よりも格下となります。
新郎の衣装は、新婦の衣装と格を合わせなければいけません。
新婦が白無垢や色打掛の場合は、黒五つ紋付き羽織袴、新婦が「新和装」と呼ばれる少し洒落た和装の場合は、新郎も色紋付きを合わせましょう。
新郎新婦の母親、伯母&叔母、姉妹等の親族と、仲人さん(夫人)は、ミセスの第一礼服である黒留袖(5つ紋)を着ます。帯は、金・銀の入った豪華な丸帯です。
未婚の親族は、振り袖か色留袖を着用いましょう。
親族以外の方は、色留袖(3つ紋)、振り袖(未婚の女性のみ)が良いでしょう。
結婚式は花嫁が主役ですから、花嫁を引き立てるような色柄を選びましょう。
遺族の正装は、黒留袖(5つ紋)です。喪主と第2親等までのより近しい人に限ります。
帯は、悲しみが重ならないように、一重太鼓の黒色の名古屋帯を合わせます。
バッグや小物も黒で光沢や飾りのないものにしてください。
参列者は、和服を着ない場合がほとんどです。普段枠を聞慣れている場合は和装での参列もOKですが、通夜は略式の服装でないと逆に失礼にあたりますので注意が必要です。
同窓会やパーティーに着物で参加する場合は、付下げや色無地、小紋などがおすすめです。
帯は、袋帯だとちょっとフォーマルすぎるので、八寸の名古屋帯などが良いでしょう。
仰々しくないけれどお洒落に、素敵に着こなしてください。
寒い時期に着物で出かけるときは、上着が必要ですね。
着物に合わせる上着には、「羽織り」や「道行き」があります。
羽織は、普段着の上着として気軽に羽織ります。丈は短いものや長いものまで様々です。
道行とは外出用のコートという意味で、礼装の場合にも着用できます。色留袖や訪問着などフォーマルな着物に合わせますが、紬などの場合はカジュアルな着物に合わせましょう。